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2018年12月3日 公開

焼き物のはなし

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【砥部焼】

愛媛県伊予郡砥部町に江戸時代からつづく砥部焼。
この地では砥石の採掘が盛んで地名の由来にもなっており、その砥石くずを原料にして器を作り、松の木を燃料にし、登窯で焼いています。
砥部町は山に囲まれた傾斜地、これを利用して築かれる登窯には最適な地形です。
ぽってりと重みのある白磁で、呉須を使い手書きで書かれた藍色のモチーフが特徴です。
シンプルな線が魅力で、自然を手本にしたデザインが主流です。
躍動感あふれる唐草紋、太陽とツルをモチーフにした太陽紋、すらりとした曲線が印象的ななずな紋、こういった伝統的な柄のほか、 枠にはまらない柄や色づかいを取り入れた新しい砥部焼も注目を集めています。

素朴な暮らしの器としてのイメージが強い砥部焼。
現代は、機械化されている産地が多い中、手仕事の技術が残っているのも砥部焼のよさ。人口22000人ほどの小さな町に100近くの窯があり、 それぞれに窯元番号がついているので器を見ればどこで作られているのかわかるようになっているそうです。
砥部焼最大の窯元は、明治15年開窯の梅山窯。そこで長年にわたって砥部焼の発展に力を注いできて、 今は伝統工芸士として若手の職人の育成にも力を入れている工藤省二さんの話しを伺う機会がありました。
手描染付の伝統を守るため、若い頃は寝る間も惜しんで絵付けの練習をしたり、大量生産のために機械を導入しようとする人々の動きを必死で防ごうとしたときの話し、 職人たちのいろんな努力があって今日の砥部焼があるんだということを知りました。
今年の秋にはロンドンで初の砥部焼の展示会を開催する予定もあるそうです。
世界に誇れる日本の手仕事。
5月には、3日3晩蒔を燃やし焚き続ける登り窯を一般公開するイベントもあり、年間を通して焼き物の原点を見るチャンスがたくさんあります。
私もまだ砥部には行ったことがないので、ぜひ一度足を運んでみたいものです。

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【コラム】清水美紀
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