世界のチーズ特集VOL.11「カチョ・ディ・フォッサ」 - 飲食業界.com | 飲食店のための飲食業界専門の情報サイト
2018年12月16日 公開

世界のチーズ特集VOL.11「カチョ・ディ・フォッサ」

 (3674)

毎年秋が深まる頃に穴から掘り出されるチーズがあります。
かつては、11月25日のサン・カトリーヌの日と決まっていましたが、
年々需要が高まり、掘り起こす日も早まりました。



イル・フォルテート社のステファノ・サルティ氏に案内されて、
エミリア・ロマーニャ州の小さな田舎町ソリアーノ・アル・ビコーネを訪ねました。

マルケ州との境目あたりで、すぐ近くに小さな独立国家サン・マリノ共和国もあります。
穴のチーズの起源は、シャルル8世(1483~1498)の頃。
敵の侵入からチーズを守ろうと地下に隠したのが始まりです。
穴の大きさはマンホールほどですが、中をのぞいてみると意外にも広いのにびっくり。

毎年夏、チーズを迎える前に穴の中で火を焚き消毒をした後、
側面に葦で骨組みをつくり、新鮮な藁でその隙間を埋め、底には厚い板を敷きます。

春に製造した1.5~2kgの羊乳製チーズを
5~6ずつ木綿の袋に入れて、穴の下からきっちりと積み上げて行きます。

チーズを入れ終わると、空気が入らないように
きっちりとセメントで密閉して、あとは解禁日まで楽しみに待つだけです。



11月、ソリアーノ・アル・ルビコーネは、フォッサを買い求める人たちで賑わいます。

穴から掘り出すのは穴の持ち主の仕事です。
リフトで引っ張り出された木綿の袋は、チーズの水分と油分でヌルヌル、
ギトギト、どろどろ。藁とチーズの匂いが交じり合った複雑な匂いに包まれます。

3ヶ月間、穴に閉じ込めることによってチーズは楕円形に変形し、
重量は70%~80%に目減り、さらに雨が少ない年は割れてしまう危険も伴います。
でも、チーズのタイムカプセルは宝探しのようでワクワクさせるのでしょう。



びしょぬれの袋から出されたチーズは、
きれいに拭かれて真空パックされてから別の子袋に包まれて出荷されます。

穴で嗅いだ香りとは異なり、高貴な風味が口の中に広がります。
アペニン山脈のふもとの小さな村から届く、とびきり贅沢なチーズをお試しください。
 (3677)






【記事】チーズの案内人・本間るみ子
【問合せ】株式会社フェルミエ
所在地:東京都港区愛宕1-5-3 愛宕ASビル