杉玉(酒林)が教えてくれること - 飲食業界.com | 飲食店のための飲食業界専門の情報サイト
2018年11月22日 公開

杉玉(酒林)が教えてくれること

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日本酒の造り蔵や酒屋さんに杉玉(すぎたま)がつるされているのを見たことがあるだろうか?

“飾りじゃないの?”“ずっとつるしているんじゃないの?”と感じておられる方が多いと思う。杉玉は酒林(さかばやし)、久寿玉(くすだま)と呼ばれる。

杉玉が意味するのは“街の人たちに蔵元の状況を知らせるため”である。

日本酒の造りというのは9月ぐらいからはじまる。お酒を絞るのは10月はじめ。その時期に杉玉を蔵の外に吊るすことで“日本酒を搾りはじめました”という“新酒の季節”を街の人たちに知らせる合図となる。

お酒の造り・搾りが終わるのは3月。搾った日本酒をそのまま出荷するものとタンクに貯蔵するものがある。

貯蔵した日本酒が春を過ぎ、夏を過ぎ、熟してきてまろやかになった日本酒のことを“ひやおろし(秋あがり)”と言う。ひやおろしが出てくる季節に“杉玉が枯れて茶色がかる”ことから新酒の熟成具合を街の人たちに知らせる。

蔵の街や酒屋さんと訪れたときに青々とした杉玉を見かけたら“新酒の季節”。
9月も半ばにかかり茶色がかった杉玉を見かける蔵元が多くなり“ひやおろしの季節”。

食べ物には“旬”というのがあるが、日本酒は杉玉を通じて“旬”を見ることが出来る。
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【記事】利酒師 上仙裕一